第1章

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「親はどうしたの?」  ウィルの言葉にサヤは口をつぐみました。 「いないの……」  サヤとウィルはどうやら同じ一人のようです。 「そうか。故郷は?」 「帰れない……」 「ふ~ん……」  その話を聞くことをウィルはやめました。きっとサヤにも事情があるのでしょう。暗い表情になるサヤを見てウィルは思いました。 「一人で旅って楽しい?」 「あまり……だって寂しいから」 「そうか~オレも親がいないんだ」 「まぁ」  サヤもウィルの言葉に驚きました。 「クピ?」  竜の子供は、リュックの中から顔を出してウィルとサヤを交互に見ました。 「あなたも親から離れてるわね」  サヤはリュックごと竜の子供を抱き締めます。竜のタマゴを盗んできたウィルは、そのことをサヤに言わないようにしようと思いました。 「そうだ! 名前って言えば、この子にもつけてあげなくちゃ!」 「クー?」  竜の子供は不思議そうな目をします。 「こいつに名前かぁ」  ウィルは考えました。竜のタマゴから子供が孵ることなど思ってもみかったことです。でも、名前は必要だと思いました。これから一緒に暮らすことになるのですから。 「ねぇねぇ、わたしがこの子に名前をつけていい?」 「いいよ」
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