1話 とある事件よりはじまり、はじまり

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いつもなら悠の言葉に「そこが素敵なんだよー!」なんて返すのにもかかわらず、由紀はちらりと見てすぐに顔をそらしてしまった。 (こんなに由紀はくっついてきたっけ?) 悠は由紀にくっつかれながらそう考える。 (でも、もしかしたら事件のことで不安になってるのかもしれない) 悠はその疑問を振り払った。もし怖がっているならその疑問を由紀にいうわけにはいかない。そう感じたのだ。 だが、悠はここで聞いておくべきだった。 【なぜ、そんなにくっついてくるの?】とでも。 疑問を持ちながらも、不安に感じながらも悠は放課後まで過ごした。 今日は一緒に帰ろうと声をかけようと由紀を見ると、由紀は友達に囲まれていた。もしかしたら今日はあの子たちと帰るのかなと悠は考え、声をかけようか悩んだところで、ふと思い出す。 借りた本の返却日が今日であったことを。 携帯だけポケットに入れて悠は教室を出た。もしかしたら由紀は友達と話しているだけかもしれない。鞄があったらまだ学校にいることもわかるだろう。そう考えて。 その後ろ姿を由紀がじっと見ていただなんて、悠は知る由もなかった。 ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 「あー・・・一人になんねぇかな」 一人の青年が、とあるクラスの窓のからとある女子生徒を見ていた。 「うーん・・・最悪誰か見ててもやるしかないかぁ?」 腰につけた鈍色に光るそれに触れながら青年はニンマリと笑う。 「やらなきゃだめかぁ・・・・」 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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