第1章 日常

2/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
どうして今なの? 誰かに言われた。 私は答えない。 足元にある小石を、新しくおろしたばかりの靴で少し強めに蹴る。小石は明後日の方に飛んでどこかへ消えてしまった。 二歩三歩と歩くたびに、誰かの声は大きくなって、私に話しかける。 やってどうなるの? 誰かがまた言った。私に、言った。 なんでなの?なんでやるの? 走り出す私と、その後をぴったりと張り付いて私を追いかける、私のカタチをした影法師。 早く、速く、もっと疾く。 誰も私に追いつけないほどはやく、私はあの場所へと続く一本道を駆ける。 なんで【囲碁】なの? 誰かが叫んだ。 私はやっぱり、答えやしない。
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!