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自分が少年に話しかけ、三拍ほど。彼は瞬きを繰り返し、勢いよくずいっとこちらに顔を近づけてきます。懐かしい反応です。
「すっげぇっ、ほんとうにさくらがしゃべった!ひいばあちゃんのいうとおりだっ」
目をキラキラさせる仕草まで彼女ーーハルさんを思い出します。
久しぶりに心暖まる心地になりますが、少年の言葉にふと違和感を覚えます。
『ひい……お婆ちゃん?』
「そうっ。ひいばあちゃんがおしえてくれたんだ!」
似ている仕草。展開。そして、何より……自分の『ヨシノ』という名を知っていること。もしやと思い、彼に尋ねました。
『君のひいお婆さんの名前は?』
「ひいばあちゃんのなまえ?ハルっていうぞ。で、おれはハルヤ!」
『そう、ですか……』
恐らく自分の知るハルさんと彼ーーハルヤさんの言うハルさんは、同一人物でしょう。
ーー人と結ばれることが、できたんですね……。
嬉しさと悲しさがない交ぜになった複雑な心境ですが、彼女が幸せならそれで良いです。
「そういえば、ひいばあちゃんいっこだけこころのこりがある、っていってた」
『それは……何ですか?』
「それはーー」
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