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僕が触れればもっと怖がるのは分かっていたけれど、震えるさくらが可愛そうで。僕は自分の首に巻いていたマフラーを外して、代わりに手に巻き付けて、そっとさくらの右手を握りしめた。
「直接触られるよりは怖くないだろ?」
そういってなるべく優しく微笑んだら、さくらも赤い目で笑い返してくれた。
キスをねだったのは、確かめたかったんだろう。僕に触れられて怖くないか。でも実際ダメだった。でもそこまで僕を愛そうとしてくれた。だから僕も君を愛したい。
「なあ、さくら。出会って1日目でお前のこと好きだって言ったら笑うか?」
「そんなことないよ。それにね、出会って1日目なんかじゃないよ。19年目になるんだよ。」
「そっか。」
きっとこの恋はスローモーションだろう。僕は一生君に直接触れれないかもしれない。試練も多いだろう。それでも悲しみの中に笑顔を探して君を愛したいと思った。
「さくら、目閉じないで。僕をしっかり見て。」
「旬くん?どうした…っ」
さくらとのキスは甘かった。それと同時に怯えたさくらに噛まれた舌の痛みは苦くてやっぱりチョコレートだった。
「…ごめんなさい。」
「俺のほうこそ、悪かった。それから、好きなんて表すのは別にキスするとか目に見えることがすべてじゃないと思うんだ。」
「旬くん…。」
「愛してるとか、幸せだとか、日常生活を言葉で二人彩れたらそれが一番の愛を交わす方法だと思うんだ。」
「旬くん…。ありがとう。」
笑ったさくらの顔はやっぱり素敵で、いつまでも傍に居たいと輝く黄色い星たちに願った
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