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第2章 写真
街を歩けば、
殆どの人が携帯またはスマホを持っているだろう。
家に帰ればほとんどの家庭にパソコンがあり、
ネットができる環境だろう。
そんな中で僕のカメラはフィルムカメラだった。
デジタルの時代の中、
フィルムカメラにこだわるのは、
現像に出すまでどんな風に映っているのか分からないという楽しみがあるから。
失敗していてもそれはそれで、
その時にしか取れなかった大切な奇跡の一枚だ。
僕は行きつけの写真屋に現像してプリントしてもらったものを取りに来ていた。
「旬くん、
今日はなんだかご機嫌だね。
」
写真屋のオーナー、
北山さんとは何度も通っているだけあって顔見知りだった。
「そうですか?特に何もないですよ。
」
一応そうはいったものの、
一つだけ心当たりがあった。
それはこの間の女の子のことだ。
確かにふわりとした髪がフィンダー越しに見えた。
そのあと急いでカメラを下ろし、
そちらのほうを見たが木の周りに人影はなかった。
もしかしたら、
撮った写真に写っているかもしれないとずっと気になっていて二週間後の今日やっと現像に出すことができたのだ。
「ふーん、
彼女でもできたのかと思った。
はい、
これ。
出来上がったから渡すね。
」
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