何もない日々

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家に入る前に軽く雨を払った。 明るい所で見るとやはり濡れてる。 ボクは扉を開ける前にもう一度、抱きしめて軽くキスした。 「あんっ。もう…。」 キスするミクの顔は美しくも可愛いかった。 「じゃ、行こうか。」 オレはスイッチを切り替えた。 ガチャ 「ただいま。ほら。」 オレは二本のワインをテーブルに置いた。 「あっ、すいません。」 黒岩さんの声には反応しても目は合わさなかった。 「おかえり。……雨凄かったの?」 ヨウコの言葉にドキッとした。 「ん?あ、あ~。かなり降ってるよ…。」 「ミクさん?結構濡れてるじゃない。服貸すから着替えて…。タオル取ってくるね。」 オレの言葉には動揺があったはずだ…、しかし、ヨウコは聞いてはいなかった。 そそくさとタオルを出してきて一枚をオレに渡した。 「ミクさん。こっち…。とりあえずパーカーでも…」 ヨウコはミクを連れて子供達の寝てる部屋へ入った。 「じゃ、ちょっとオレも着替えて来ますね。」 今度は目を合わせてから、オレも黒岩さんを残し廊下向こうの子供が寝ている部屋の隣の部屋へ入った。 濡れた服を脱ぐ時、強い雨の匂いと、かすかにミクの香がした。 そのせいか、着替える間はミクの事ばかり考えていた。 久しぶりに溶かされた。 そして気持ちいいキスだった。 かなりのイイ女だ。 ボクは誰かを好きになる心の高鳴りを感じていた。 久しぶりの感覚な気がして心地よかった。 そして、愛と快楽と背徳という泥沼さえも心地よくハマっていけそうな気さえしていた。
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