何もない日々

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正直、気が重い。 だって、初対面の人と食事だ。 きっと、ぎこちない雰囲気とちょっとした緊張があるだろう。 営業職のおかげで慣れてはいるが…、まっ、そこんとこは頑張りますかね。 これも、カッコイイパパになる為だ…。 「ただいま、帰ったよ」 いつもよりテンション二割増で玄関を開けた。 「おかえり~、パパ」 友達が来ているからか、こっちも二割増だ…。 すぐにわかったのだが妻も、いや、家族全員が二割増だ…。 残業分が遅かったせいか、もう、チカちゃん家族は来ていた。 さぁ、緊張の時間だ…。 「あっ、こんばんわ。いらっしゃい。初めまして。宮本です。今日は楽しみましょう」 「黒岩です。よろしく。ちょっと妻は家に戻ってまして…。」 「あっ、かまいませんよ。私もちょっと…、着替えてきますね。」 いないのかよ!また、緊張しなきゃいけないのね。 着替えながら妙な緊張感とこれから会う女性が楽しみでもあった。 着替えが終わってリビングに戻ると子供と女性の騒ぐ声が充満していた。 あっ! ボクは息を飲んだ。そこには、ユキがいた。ボクは正直焦った。 しかし、それもまた、いつもの勘違いとすぐにわかった。 「あっ、宮本さん。すいません。妻のミクです。」 ちょっと慌てた感じで黒岩さんが紹介した。 「すいません。ちょっと忘れ物を取りに行ってまして…。はじめまして。チカの母です。」 「あっ、はじめまして。…」 何故かそこでボクは言葉が止まった。 「どうしたの?パパ?やだっ、緊張してんの?」 妻の余計な一言が止まった時間を動かした。 「まっ、初対面だからさ~。ははっ。」 とりあえず、ボクは笑ってごまかすしかなかった。
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