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「九条さんっ……待って!九条さん……!」
やっと彼の人に追いついたのは
奇しくも黄色い薔薇が咲く裏庭の茂み。
「お願い……待って」
黄色い薔薇は
彼が僕に初めて送ってくれた花。
いい意味ばかりじゃない。
「不貞」や「嫉妬」なんて
複雑な花言葉を有する薔薇――。
彼はそれを選び
それからは初めての睦事。
何度か訪れた危機。
事あるごとに
僕に黄色い薔薇を送ってくれた。
「今のは――今の話は――」
僕はきっと
酷い二日酔いのように青ざめていたに違いない。
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