episode210 エーロスとアガペー

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結局 自分に非がないと言えることは稀で。 「ごめんなさい……でも僕あなたをっ……」 いつだって一番愛してる人を 一番苦しめるのはこの僕だ。 「行かないで……僕から放れないでよ!」 自分勝手な口先。 「お願いだから……」 衝動的な涙さえずるい。 もちろん彼は泣いている僕を 放りっぱなしになんてできやしない。 「……和樹」 こんな時まで 聖母のような微笑みを湛えて 泣き崩れる僕を支えに戻ってくる。 「あなたが好きだよ……九条さん……僕あなたが好きだよ」 「うん……分かってる」 「九条さん……?」 「僕も君が好きだよ」 たとえその意思は決まっていようとも――。
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