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「でもね、和樹」
九条さんは僕の身体を抱き起すと
「僕は征司くんの言い分ももっともだと思う」
まるで
冗談みたいに言った。
「……九条さん?」
「彼の言うとおり、僕が君への愛をもっと神聖なものへと昇華することができたなら――それでみんな幸せになれるのかもしれない」
もともと
繊細な人だ。
「そんなの、違うよ……!」
「ねえ和樹、今までよりもっともっと君を愛すから」
「でもっ……」
「そうすれば大切な人たちを傷つけず、一生君の傍にいられる」
それに
誰よりも優しい――。
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