151人が本棚に入れています
本棚に追加
「ねえ、頼むよ――」
この人に
こんなに真直ぐ頭を下げられて。
「九条さん……」
「僕だって聖人じゃない――だから君の許しが必要なんだ」
穢れきった僕に
それ以上何が言えただろうか。
「肉体を離れても変わらず僕を愛してくれると――お願いだからその唇でそう言ってくれないか?」
「僕は……」
差し出される
新たな黄色い薔薇。
「守るべきものを守り愛すべものを生涯愛して僕は生きていきたいんだ」
まだ咲いたばかりの
清々しい無垢な香りを
僕は胸いっぱいに吸い込んだ。
最初のコメントを投稿しよう!