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「これも、運命なのかな」
私は、いつから〝運命〟を言い訳に使うようになったのだろう。
〝こういう運命だったの〟〝運命だから、仕方がない〟〝運命に従おう〟なんて。私は、かつて夢や希望に満ち溢れていたはずのその言葉を、いつしか言い訳や逃げ道を選ぶための道具として利用していた。
「……咲良（さくら）」
「もう、そんな風に優しく呼ばないで」
私の目の前で、眉尻を下げ、あからさまに申し訳なさそうな表情を浮かべている彼。
そんな彼と私は、明日、4月1日で入籍してから3年が経つ。が、たった今、2人並んで離婚届を提出したところだった。
「……本当に、ごめん」
彼が、小さく、弱く、私まで届けた声。それは、少しだけ震えていて、ずるいなあと思う。
俯くと長さが際立つ、女の私よりも綺麗な睫毛。すっと通った鼻筋に、白い肌。細いシルエットからは想像しがたい筋肉質な身体。
その子犬のような表情も、柔らかな仕草も、優しい眼差しも。全部、全部、昔から変わらず好きなのに。
私たち、どうしてこうなってしまったのかな。
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