きみがいなければ ー廉ー

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   *  *  *  * 『廉、もう大丈夫だから。俺が傍についてるから。』 耳元でそう囁いたその声は誰? 優しく包み込むこの手の温もりは? 問い掛けたいけど、思うように声が出ない。 それでもその言葉にひどく安堵して、意識を深く沈めて眠りについたのは覚えてる。 目が覚めて最初に視界に映ったのは、啓祐の心配そうな顔だった。 何度か瞬きを繰り返し、焦点が合うにつれて体中の細胞が一気に覚醒する。 あれほど冷えきっていた体は、いつの間にか熱を放って不快感が全身を覆っていた。 自分の置かれている状況が飲み込めずに啓祐に視線を移せば、視線が合った瞬間にぎゅっと握られていた手がパッと離れた。 「どっか痛い所ない?」 いつになく柔らかい口調。 何度となく互いの額を行ったり来たりしているその手に、不思議な感覚を覚えた。 .
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