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* * * *
啓祐の思いに甘えていた自分。
あの時、雪と同化して死んでも構わないって一瞬でも思った。
でも……啓祐の言った通りだよ。
伊織は死んだ訳じゃないんだ。
それにみんなの優しさを裏切っちゃいけない。
「もうしない……」
「当たり前だよっ!」
忘れていたんだ。
自分ひとりが不幸になった気がしていた。
啓祐は俺を救うために自分の気持ちを殺して、それでも俺の気持ちを少しでも軽くするために傍にいてくれたのに。
いつだって俺の気持ちを優先してくれた。
ただ傍にいてくれた。
そんな大きな愛情を俺は裏切ってばかりだ。
それでも啓祐のその気持ちには応える事が出来ない。
たとえ傍にいなくても、伊織という存在が全てだから。
これから先も俺は伊織を待ち続けるだろう。
それでも啓祐にとって自分がなくてはならない存在だというのなら。
俺は彼の前で、二度と自分を粗末にはしないと約束する。
そしてそれを傍で見ていて欲しいと思った。
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