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勝手なのは分かってる。
だけど俺じゃない誰かの傍で幸せになって欲しいなんて、口にすることは出来ない。
自分も伊織にそんな事言われたら、耐えられないから。
きっと啓祐がいなかったら、大切な事を忘れて見失っていたに違いない。
タオルを外し起き上がれば、啓祐が柔らかな笑顔で見つめてきた。
もう大丈夫。
だから色々な意味を込めて、ひとつだけ言わせて……
「啓祐…ご‥めん…」
呟いた言葉に啓祐が泣き笑いのような表情を浮かべて切なそうに囁いた。
「違うよ……廉ちゃん。こういう時はね、ありがとうって言うんだ。」
END
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