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俺は降板をきっかけに、伊織を追うように引退を発表した。
事務所は謹慎、そのまましばらく休業する方向でいいではないかと、引き留めたが限界だった。
残された3人は、そのままM'sを継続するよう事務所に言われたけど、俺の身勝手で解散を決めた。
伊織がいない。
それだけで、M’sではないのだから。
解散の会見も解散式も何もせずに、M'sは消滅。
そして引退した翌日から、俺は記憶の眠っている海を、日長1日防波堤に腰掛けて眺める日々を送っていた。
周囲や季節は急速に変わっていくのに、俺はあの日の伊織と共に、その歩みを止めてしまったんだ。
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