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「こいつは俺の馬で普段は大人しい。エサをやってみろ」
そばにあった人参を虎王さんが先に口元へ。
モグモグと食べる姿にわたしも人参を差し出すと、じっとわたしを見て、虎王さんを振り向きそれから口にした。
「食べてくれた!」
虎王さんは馬のたてがみを撫でて、馬の名を教えてくれた。
「秋月」
「いい名前ね」
秋月はしばらくすると鼻先をつけてくれた。
大きな瞳はわたしをじっと見つめてる。
「…乗ってみるか?」
「え?いいの?」
乗るだけだが、と、鞍を小屋から出して秋月の背につけてくれた。
「足を俺に掛けろ」
虎王さんに足を掛けるだなんて…
ひょいと腰をつかまれて足を虎王さんの太ももへ、そこから更に手のひらから押し上げられて馬の背に。
グンと視界が高くなって鞍にしがみついた。
「見てみろ」
怖いながらそっと周りを見渡すと虎王さんが秋月の手綱を取ってた。
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