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「…38度5分」
三津谷おじさまの別荘に来て次の日には熱を出した。
ベッドの横には乳母のあきさんが付き添い眠ってる。
夜中じゅうずっとついていてくれたせいで疲れてる。
あきさんを起こさないようにベッドから抜け出すと、一階に灯りが点いていた。
「…起きていいのか?」
「虎王さん」
本を読んでいる虎王さんはわたしをちらりと見上げた。
「あきさんを眠らせててあげたくて」
答えると「そうか」それっきりまた本に目を落とした。
階段を降りて虎王さんがいる席の向かいのソファーに座ると、素っ気なく上着を脱いでわたしに投げた。
「着てろ。夜は冷える」
虎王さんの上着を袖を通すと日向の匂いがして暖かかった。
ふと虎王さんが読んでる本を見ると経済学と書いてある。
経済学?
「いずれ必要になる時代がくる。覚えておいて損はない」
よくわからないけど力だけの時代は終わったと思う。
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