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「恋愛音痴だもんな。龍琉は」
「俺だってなあ、恋のひとつやふたつぐらい」
「へえ、今までにあったっけ?少なくとも本気で誰かを好きになったことあったっけか?」
「………」
玲央がさくらと出会って恋したように、誰にも渡したくないと思った女はいない。
「それを恋愛音痴って言うんだよ」
「………」
「そういう男に限って、ホレた女できると厄介なんだよな。俺の親父がそうだし」
玲央の親父。
俺の親父とは今は親友だ。
昔、恋敵だったといつも聞かされている。
「今でもベタぼれでさ。メロメロ」と、玲央が笑った。
恋愛音痴で構わない。女なんかより玲央がいてくれる方がずっといい。
そう言うと、
「こりゃ、重症だな」
「そうか?」
「まあ、本当の相手が現れるまではわからねえのも仕方ねえよな」
ふたり桜を見上げた。
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