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「他の男と話をしてるのを見るだけで頭にくる。他の男に笑いかけてるのを見ると許せなくなる」
「そうなのか?」
「誰かに奪われてしまわないかと不安になる。そばにいられるだけでいいと思ってたのにそれだけじゃ足りなくなる」
「………」
「せつなくて夜も眠れない。…なんてな。龍琉にはまだ無理か」
花びらが舞い、笑う玲央が手のひらに受け、風にさらさらと流れていく。
その横顔に俺には玲央がいればそれでいいと思えた。
「…いつか龍琉も出会うんだろうな。たったひとりと思える女に」
すべてを投げ出しても手にいれたい女が。と、玲央が俺を見た。
そんな風に思える女は一生現れない。
そう思っていた―――
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