龍琉の恋

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特別だった。 生まれた時からずっと。 そんな玲央が目の前で襲われ俺を助けようとケガをした。 「龍琉、よせ!!相手は年端もいかねえガキだぞ」 「それがどうした」 「やめろ、殺すな!!」 玲央の叫びに狭まっていた殺気の輪が揺らいで一歩一歩と後退る。 ガキなら許されるのか。 裏の世界の掟では一般人には手を出すことは御法度だが、俺には関係ない。 上段に鈍色を構えると一気に腰を引いた男へと突っ込んだ。 怯んだ男の肩に袈裟斬りに打ち込む。 「う、わあぁぁっ!」 「!!」 骨の砕けた音が街の裏通りに響いて、黒メットたちが動揺して更に下がる。 路にのたうち回る男のメットが外れ、素顔が見えた。 「…こいつは、ブラックエンジェルの」 「チッ」 舌打ちが聞こえ、メットを外したひとりが指笛を吹いた。 路の向こうからいきなり上向きのライトで照らされバイクのエンジン音が響いた。
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