龍琉の恋

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バルルルバルルル ドルンドルン 爆音と油の匂い。 裏道の向こうには10数台のライトが眩しい。 「龍琉、来いっ!」 「おまえ、大丈夫かっ」 「このぐらいじゃくたばらねえよ!」 細い路地を向かってくるライトに、横路に入った。 雪が舞う中、ふたり全力で走る。 追ってくる爆音と鉄パイプ。 「逃がすなっ!!捕まえろ!!」 背に怒声が被さる。 路地を走る俺たちに迫る爆音とライト。 狭い路地を抜けて通りに出た。 高級クラブが立ち並ぶ通りをひたすら走る。 「いたぞ!!」 黒メットの集団が客引きの合間をバイクで突っ込んでくる。 「玲央、こっちだ!」 「バカ、そっちは…」 ビュン すぐ耳の後ろで風が流れ、玲央を振り向くとふたりの間に一台のバイクが割り込んだ。 黒メットの握る鉄パイプが頭のすぐ脇を掠める。 「龍琉!」 玲央の声で間一髪のところでかわした。
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