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声に出して言えない私は、心の中で必死に叫ぶしか出来ない。
自惚れるな!お前じゃない!そう言われるのが怖いんだ。
「詳細は後回しでもいいかな?ねぇ、美央、10年前のあの頃から俺には美央だけなんだ。10年前と同じ時間になったね。美央、ずっと愛してるよ。俺と結婚してくれますか?」
あぁ・・・、私の勘違いじゃなかったんだ。
よかった・・・。
そう思ったら身体の力が抜けていって、気づけば優志に支えられていた。
「美央・・・?せめて返事くれないかな?」
「あ・・・。えっと、よろしくお願いします。」
優志が桜の木がどうとか言っていたことはよくわからないけれど、私は他の人を探さなくていいんだと、優志と離れなくてよかったんだと思ったら安心した。
桜の木の下で私は優志と、今はない婚約指輪の代わりに誓いの口付けを交わす。
ふわりと風が吹いて桜の花びらが私たちの周りを囲んでいるように思えて、桜が私たちを祝福してくれているようにも感じた。
「美央、実家に帰るんでしょ?近くまで送っていくよ。」
「え?でも・・・。」
「大丈夫。またすぐ会えるから。ね?」
優志の柔らかな笑みは私に安心感をくれて、本当にそうなるんだと思わせてくれたんだ。
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