桜花の誓約

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約1週間後の月曜日に絵梨奈から聞いた内容は、やっぱり私に直接会って話したいってことだった。 輝さんが言うには、優志が私を身代わりにしているような様子はどこにもないと、絵梨奈に言われたけれど、今はまだ優志と直接会って話そうという気にはなれない。 無理だと絵梨奈に輝さんを通じて優志に伝えてもらい、あれから何度か携帯にあった着信にも出ることはなかった。 絵梨奈と公園に行ったあの時から桜を見ると思い出す光景がある。 あの時の男の子は、確か10年後にもう一度会おうって言ってたと思う。 今の私が行くべきか、顔もよく覚えていない男の子と、会って何を話せばいいのかはわからないけれど、約束の日までもうあまり日数は残されていない。 この日の夜、実家のお母さんから携帯に着信が入り、何だろうと思い電話にでた。 “美央、20歳の誕生日前に、こっちに帰ってきてくれない?ケーキはお母さんが用意してあげるから、美央に話しておかなきゃならないこともあるのよ。” 今はこっちにいてもみんな彼とデートだろうし、絵梨奈には実家に呼ばれていると話せばわかってもらえるはずだ。 私はお母さんからの願いを受け入れて、誕生日前の土曜日?に学校が終わったら地元に帰ることを約束した。
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