49人が本棚に入れています
本棚に追加
輝さんが向かった先はマンションの1室だった。
「輝のマンション?そんなに話長くなるの?」
「うーん。なんともいえないけど、聞きたいことには俺の知る限りで答えるよ。だからゆっくり出来る場所がいいかなって思って。思いついたのが俺の家しかなかった。」
ここに来て聞くのが怖いと思ってしまっている。
でも、聞かなければ何もわからないままで、こんなとこで立ち止まったままなのも嫌なんだ。
優志のことを聞くのは怖いけど、やっぱり知らないままなんて嫌だから。
リビングで輝さんと向き合って座り、私は不安に思う原因となったことを話して、輝さんが知っていることを聞く覚悟を決める。
「優志が、時々遠くを見るような、私から離れて行ってしまうような、そんな感じを受けるの。輝さんは何か理由を知ってる?」
「俺も詳しく知ってるわけじゃないんだ。ただね、優志は美央ちゃんと付き合うまで、告白されても全部断ってた。その理由が・・・。」
理由を言いかけて言葉を呑み込んで俯いた輝さんは、言い難そうに黙ってしまった。
なんとなく理由はわかる気がする。
輝さんが言い難いのなら私の頭に浮かんだ理由はきっと当たっているんだと思う。
最初のコメントを投稿しよう!