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ずっと頑なに誰とも付き合おうとしなかった優志が、どうして私と付き合ってくれたのかはわからない。
あの優しい表情で、私を愛してると言ってくれる優志が、嘘だとは思いたくはなかった。
私が初めて身体を許した人だし、こんなにも好きになれる人がいるんだって、この歳になって漸く思えた人でもある。
でも、私がこうして優志の身動きをとれなくしてしまうのは、何か違う気がした。
「優志には、ずっと愛している人がいる・・・?」
私は1歩前に進む決意をして、輝さんが呑み込んだ言葉を予想して、私の頭に浮かんだ言葉を口にする。
顔を上げて私を見る輝さんの表情は驚きに満ちていて、私の答えは間違いではないと知った。
「そっか・・・、そんなに思ってる人がいるのに、どうして私と付き合ったのかな?私は優志がずっと思ってきた人の代わりだったってことかな。そっか・・・そう、だよね・・・。」
なぜか涙は出てこなくて、ショックが大きすぎて涙も出てこないってこういうことなのかって、冷静に思っている私がいた。
そこからは自分で何を質問して、どんな答えをもらったのかよく覚えていない。
どうやってアパートまで帰ったのかわからないけれど、気付けば私は自分の部屋でベッドに仰向けで寝ていた。
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