第1章

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2016年 夏 私は恋をした。 ―「同じクラスだよ!」 周りは中学生になったせいか、やたらテンションが高い。 そう、私も今日から中学生になるのだ。 私が入る中学校は、人数が少なく、2クラスしかない。 紙に書いている名簿から、私の名前を探す ―〈滝口 沙羅〉(たきぐち さら) あった。私は2組か… まだ1回も履いていない中学生用の緑の上履きを履く。 「教室は、3階にあります」先生らしき女性が、玄関で案内してくれた。 さっそく階段を上がる。 3階を右に行ったところで教室はあった。 〈2組〉とドアの上に書いてある。 ―ガラガラ 「おはよう 同じクラスだよ」 さっそく光(ひかり)に話しかけられた。光は小学校からの友達。倉野光。 といってもこの中学校は小学校から大体同じ人が来るから緊張も何もないけど。 荷物を用意して席に座る。 「このクラスの担任の関口 拓弥だ。 9時35分から入学式だから、教室を出る前に制服に名札つけとけー」 「はい」 みんなそれぞれ返事をして 名札を左胸あたりにつける。 「じゃあ廊下に番号順に並べー それと体育館シューズは忘れるなよ」 先生についていくと、2年の教室が見えてきた。 1年と2年の階は同じか…。 私達が新入生だからか、2年の先輩たちの視線が強く感じる。 すると一人の男子の先輩が眼中に入った。 …あの人は確か小学校のとき落とし物を拾ってくれた…。 なんか、いかにもクールそうだ。 身長は結構高いほうで、日焼けしている。 表情は…無だ。 近寄りがたい人っぽいな。 その日の入学式は、その人のことを考えてて、集中出来なかった。 一 「明日は部活見学だ。どの部活を見たいか、考えてこいよー」 放課後の教室では先生がそう言っていた。 バレー部がいいなぁ。 家に帰った私はそう考えていた。 「沙羅ー!夕御飯出来たわよ おりてきなさーい」 「いま行くー」 「沙羅、学校どうだった?」 「普通だよ。良いことも悪いこともない。」 「好きな人できた?」 「できないわ!」 なんか一瞬焦った。 なんでかな…。 まあいっか 「ただいまぁ」 「お父さん、お帰り」 「ああ、沙羅、ただいま。ママもね」 「ええ。お父さん、ご飯あるわよ。沙羅はご飯食べたらお風呂入って寝なさい」 「はぁい」 私、早く学校行きたい。なぜか不意にそう思った。
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