第一話 友情の悪夢

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 目が覚めて、今日は追いかけられなかったなぁと安心した。  だけどパグのあの目つきを思い出して、わたしはゆううつになる。  パグは悪夢を見るのは現実のできごとが原因だと言っていた。なら原因はアカネちゃんとケンカしたことだと思う。  どうやってアカネちゃんと仲直りしたらいいんだろう……。  アカネちゃんの怒った顔が頭に浮かんで、わたしはベッドの上で途方にくれた。 「ヒカリー、遅刻するわよー」  お母さんの声が一階から聞こえた。  アカネちゃんとケンカしてから、学校では他の友達と休み時間を過ごしていた。おしゃべりするのも、トイレに行くのも別の子たちで、なんとなく違和感がする。 「そういえばさー、なんでヒカリちゃんとアカネちゃんってケンカしてるの?」  ノートをくれたマイちゃんだった。  わたしは本当のことを言っていいのか迷った。 「えっと……わたしが約束破っちゃったから……。おそろいのノート使おうって言ってたんだけど……」  マイちゃんはそう言ったわたしをじっと見た。みんなも無言でわたしを見ている。 「えー! なにそれー!」 「それだけでアカネちゃん怒るって、ひどくなーい?」 「そーそー!」  思いもしなかった反応に、わたしはびっくりした。悪いのは約束を破ったわたしだと思ってたから。  みんなはアカネちゃんの悪口を言い続けている。 「ねーねーなんの話? いまアカネちゃんが走ってったけど」  教室に入ってきたサキちゃんが、わたしたちに話しかけてきた。みんなの口がぴたりと止まる。 「……聞かれちゃったかな」 「いいんじゃない? アカネちゃんが悪いんだし」 「そーそー」  気まずかった雰囲気が、いつの間にかいきいきとしたものになっていた。みんなは悪口で盛り上がっている。  こんなつもりじゃなかったのに……。  わたしは廊下の先が気になってしかたがなかった。
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