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その声にはっとした。
パグの方を見ると、影がさっきの何倍もの大きさに膨れ上がっている。それを押し返すパグの剣は、今にも力尽きてしまいそうだ。
「言っただろ? 夢の力はおまえの力。弱い心じゃ飲み込まれるぞ!」
負けそうだった剣は、パグがそう言ったのと同時に影を押し返した。影が吹き飛んでいく。
「おまえが大事にしたい気持ちは、その程度のモンか!?」
わたしは目を見開いた。その瞬間、強い風が吹いた気がした。
アカネちゃんのことが本当に好きだった。ずっとずっと、おとなになっても仲良くしていきたいと思っていた。
あのときちゃんと、「アカネちゃんはそんな子じゃない」って言わなきゃいけなかったんだ。
「やればできるじゃねぇか」
立ち上がったわたしを見て、パグはにっと笑った。
あたりはさっきよりも明るくなっている。悪夢を見始めてから、こんなに明るいのは初めてかもしれない。
「そのまま気持ちを保っとけよ! いくぜ!」
パグが駆け出した。影へと突進していく。
「いっけー!」
わたしは思わず叫んでいた。
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