第一話 友情の悪夢

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「お、来たな」  パグのその言葉で、わたしは夢の中にいるんだとはっきりわかった。 「こんばんは」 「はい、こんばんは。……どうしたぁ? なんか沈んでねぇか?」  パグは目ざとく気づいてくる。いつもどおりにしているつもりだったのに。 「なんでもないよ?」  そう言うけれど、パグは疑うような目を向けるだけだ。 「そうかぁ? なんかあったらちゃんと言えよ? 現実世界のことが夢に影響してんのは、よくあることなんだからな」  わたしはドキッとした。  うすうす気づいてたことだった。悪夢を見るようになったのは、アカネちゃんとケンカしてからだ。  それが悪夢を見る原因なんじゃないかなって、ちょっと思ってた。 「パグは……どうしてわたしのところに来たの?」  話を変えたわたしを、パグはじっと見た。わざとらしかったかな?  それでもパグはなにも言わずに、ふいっと前を向いた。 「本部のやつらが悪夢レーダーを監視してるんだ。レーダーが反応したら出動。俺はこの地区を担当してて、昨日が当番の日だったんだ。だからヒカリに会えた」  そう言うとパグはわたしの方を見て、ほほえんだ。  ずっと悪夢の中にいたから、笑いかけてくれる人がいるんだって思ったら、なんだかほっとしてしまった。
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