君は髪フェチの王子

3/3
前へ
/5ページ
次へ
先週の週末、璃子ちゃんと一緒に我が家でチョコケーキ作りに奮闘した。 中等部の憧れの先輩に渡す手作りのチョコなんて、シスコン兄貴に見つかったら全部自分の腹に処分してしまうに決まってる。 そこで最近奈倉家に出入りしていて仲良くなった私が極秘任務遂行のお手伝いをしたのだ。 「カモフラージュに家族分も用意なくちゃね」 「平ちゃんには伊万里ちゃんからお願いします!」 「なんで?璃子ちゃんは?」 「私からは、失敗作で十分です。それ以上はつけ上がっちゃう。 でも、伊万里ちゃんからもらえば平ちゃんの機嫌が良くなるから!」 つけ上がるって、シスコンには気の毒で聞かせられない。 私からでもチョコで機嫌が直る? 子分からの貢ぎ物はあって当然、無ければ拗ねるか…… なんて考ていたけど、うわぁ、眩しいほどの笑顔が! 「君が好きだよ」 わ、分かってますよ、髪でしょ? これでもシャンプーとか気を使ってるんだから。 璃子ちゃん、渡せたかなぁ…… 終
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加