prologue

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物語の序盤で申し訳ないが、俺は今、とても困ってる。 なんて説明しようか。ええと、そうだ。 俺は「ここ」に来る前、というか連れてこられたというべきか。 人が忙しなく集う東京に住んでいた。 そして事が起こったのは桜が街道を彩る季節。 当時の俺は胸を躍らせ、警察署を前に気合い充分に中に入っていった。 刑事になってここに派遣された俺だったが、やはりルーキーななりたて刑事は事務仕事ばかりでそうそう本場の仕事は廻ってこない。 いや、こさせない。 そんな中、やっと上司から仕事を任されて現場に向かうも学生の万引きの立ち会いだった。 こんなしょっぺえ事件ばかり任されちゃやる気も失せる。 警察署に戻るため、現場に向かう為に使った自前の車に乗り、エンジンをまわし、走り出した。 赤信号だろうか、渋滞だろうか。周りは車の海のように列をなしており、なかなか車が進まない。 そんな時だった。 ああ、なんて退屈な毎日だろうか。 もっとこう…大きな事件が起こるような事態にならないだろうか。 刑事としてどうなのかって台詞だが半分本音だった。 台詞、と言っても心の中でため息を吐きながらの情けないデカのボヤキだけど。 俺の心中を知ってか知らずか、魔法使いに「ちちんぷいぷい~安息のない治安の悪い世界へレッツらゴー!」と魔法をかけられてとある世界へ連れ出された、という唐突なジャンル崩壊が許されてしまうような…。 そして冒頭に戻ってくる。
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