11. 突きつけられた現実

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帰宅して食事の用意をすませる。和也先輩の帰りを待ちながらパーティで着る服の確認をしていた。 ーーあぁ……不安だなぁ。 先週末にようやく購入した濃紺のワンピースは、今までの自分なら選ばないデザインだった。 ーー今思えば、どれも子どもっぽいデザインだったし。 手持ちのワンピースは露出こそ少ないものの、スカートの広がりや光沢は10代の感覚が抜けきれていないようなものばかりだった。 目の前に広げたワンピースは、初めて自分以外の人のために選んだ1着だった。 にわかに緊張してきたところに、玄関の鍵が開く音がした。 「和也先輩!お帰りなさい。」 ワンピースを手にしたまま振り返る。私の手元に気付いた和也先輩は不思議そうな顔をした。 「ただいま。週末、結婚式とかあったっけ?」 「いえ……実は言いそびれてたんですけど、会社の新作発表パーティが金曜日にあるんです。だから金曜日はかなり遅くなるかもしれないです。」 「そっか。俺も練習あるから……。」 そう言って和也先輩は私を後ろから抱きしめた。首すじを甘噛みされて身体が震える。 「んっ……ごはん出来てますよ。」 「食べると眠くなるから、先にしたい。」 エプロンの隙間から差し入れられた左手は、すでに私のブラウスのボタンを外し始めていた。
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