17人が本棚に入れています
本棚に追加
帰宅して食事の用意をすませる。和也先輩の帰りを待ちながらパーティで着る服の確認をしていた。
ーーあぁ……不安だなぁ。
先週末にようやく購入した濃紺のワンピースは、今までの自分なら選ばないデザインだった。
ーー今思えば、どれも子どもっぽいデザインだったし。
手持ちのワンピースは露出こそ少ないものの、スカートの広がりや光沢は10代の感覚が抜けきれていないようなものばかりだった。
目の前に広げたワンピースは、初めて自分以外の人のために選んだ1着だった。
にわかに緊張してきたところに、玄関の鍵が開く音がした。
「和也先輩!お帰りなさい。」
ワンピースを手にしたまま振り返る。私の手元に気付いた和也先輩は不思議そうな顔をした。
「ただいま。週末、結婚式とかあったっけ?」
「いえ……実は言いそびれてたんですけど、会社の新作発表パーティが金曜日にあるんです。だから金曜日はかなり遅くなるかもしれないです。」
「そっか。俺も練習あるから……。」
そう言って和也先輩は私を後ろから抱きしめた。首すじを甘噛みされて身体が震える。
「んっ……ごはん出来てますよ。」
「食べると眠くなるから、先にしたい。」
エプロンの隙間から差し入れられた左手は、すでに私のブラウスのボタンを外し始めていた。
最初のコメントを投稿しよう!