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ユイ「私が死んだら、あの桜の木の下に埋めてね。」
ユイは私の幼なじみ。
生まれつき不治の病で、いつも会う度に、私にそう言っていた。
昨日、ユイは死に、私は遺言どおりに近所の公園にある、大きな桜の木の下に、ユイを埋めた。
風が少し強く吹く真夜中に・・・・。
今日から、ユイのいない世界が始まった。
私は朝、ユイを埋めた公園に行き、桜の木を眺めた。
蘇ってくる昨日の夕方の記憶・・・・。
ユイ「アンタ、気持ち悪いんだけど。いつも遠くから私を見るのやめてくれる?そりゃあ、昔、あんたにバレンタインのチョコをあげて、あんたのことが好きだったこともあったけど、あれは中学生の頃の話。無職で何の取り柄もないアンタなんか、眼中にないから。もう、死ねば?」
私「このアマ、幼なじみの俺を馬鹿にしやがって!!」
仕事が終わり、帰宅途中のユイに、電信柱越しに隠れて見ているのを見つかってしまった。
電信柱が少し細すぎて、私の体が電信柱からモロはみ出していた。
私は、背を向けて歩き始めたユイの後ろから首を締めて、そのままユイを殺した。
「私が死んだら、あの桜の木の下に埋めてね。」
ユイは、そんなこと一言も言ってない。
生まれつきの不治の病・・・・。
ユイは健康そのもので、近所では、評判の美少女だった。
それは全部、私が自分の都合のいいように書き換えた記憶。
私が、ユイのストーカーだっただけの話だ。
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