1人の犠牲

4/6

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
男は人ならざる者、狂鬼という人間の闇を食らえる鬼 食えるだけでなく、使いこなせる為 闇に飲み込まれたりはしない 名前は狂(kyou)人間等からそう呼ばれていた為 この名前になった 昔世界のバランスが崩れ闇に覆われる時、 人間達は狂を特殊な空間に閉じ込めた 誰かが特殊な空間に入り続ける事で、世界のバランスは 再び保たれることを知ったからだ 人間達は、人間では空間で長く生きられないことを知り、 化物と言われる狂ならば…と力あるもの達が集い 身体と力が朽ちていく空間へ閉じ込めた その空間から出たばかりの為、身体の表面を再生し 動ける程度にしか再生できていない 今の自分では闇を食い尽くす前に朱里が死んでしまう 今の状況を簡単に説明すると 風船が朱里で、闇が空気 空気がいっぱいな風船に入れ続けると、破裂する このまま闇が入り続ければ精神も身体も壊れる 「朱里!?」 苦しんでいた朱里が急に動かなくなり、 脈を確認すると止まっていた 「死なせてなんてやらねぇ…絶対に」 朱里の上体を起こさせて、力強く抱き締めながら 朱里へ口付ける すると、狂の身体は崩れていき消え去った 胡桃は死んだ朱里が自分から男をうばったと思い込み 朱里の死体を蹴ろうとしたが、蹴ろうとした足は 死んだ筈の朱里の手によって止められた 「なっ!」 胡桃は驚いで足を下げ数歩下がる 朱里がゆっくり立ち上がると、髪や瞳が狂と同じ色へ 変わっていく 狂の頭に生えていた角も生え、 顔立ちも狂へと変わった 「チッ朱里の方の身体に少し残りやがった」 狂は、力も殆どなく、身体もかなり限界に近かったため 助ける為闇に耐えれる自分の身体を朱里へあげ、 朱里の中の闇をすべて肩代わりするつもりだったが、 身体が極限まで弱っていたため全てとることが できなかった 狂の身体は、再生能力もあったため止まった心臓を 再び動かし、ある程度回復させた 身体だけ渡しても、朱里は使いこなすどころか 飲み込まれる可能性があるから、狂自身も身体と共に 朱里の中へと入った
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加