僕たちの世界は

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眼が覚めると、緑に囲まれた建物の中に僕はいた。 見たことのない黄色い実をつけた木に、色鮮やかな花。空が鉛色でなければ、ここが建物だと気付くこともなかっただろう。 左手に違和感を感じて見ると、見たことのないメーカーのデジタル時計をしていた。 そこには時間が書いておらず、タイムリミット残り9分の文字だけが点滅している。 重い体を起こして、立ち上がると少し遠くに女の子が寝ていた。 女の子の見た目と服装から同じ高校生だろう。しかし、あの制服は見たことがない。 僕は女の子に近づき肩を揺すった。 彼女は口を微かに動かし、目をこする。その姿は、まるでアイドルの写真のように様になる顔立ちだ。 「大丈夫?」 「おはよう~、お兄ちゃんが起こしに来るなんてめずらし、あれ?」 僕の顔を見ると彼女は体を後ろに引いた。 「あなた、誰?ていうか、ここはどこ……ですか?」 彼女は周りを見渡し、胡乱な目で僕を見る。 「いや、それが僕にもわからないんだ。さっき起きたんだけど、気付けばここにいたから……」 それを聞くと彼女は髪の毛を整えて、立ち上がった。 「そうですか……。とにかく、ここを出ましょ」 落胆したと思いきや、すぐに切り替えて彼女は歩き出した。 男前な切り替えの早さに、僕は男として恥ずかしくなった。 「な、なあ、出口はそっちであってるかわかるのか?」 「わからないですけど、ここから移動しない事には何も始まりませんよ。それにこの場所の広さからして……」 「只事じゃないことに巻き込まれた可能性が高いでありんすな~」 彼女の声に被せて甲高い声がした。 「誰です?」 僕たちが振り返ると小さな女の子が木の幹に座っていた。 女の子は顔が見える布の狐の着ぐるみ着ている。 「あちしでありんすか?あちしは、クウと呼んでくださいまし」 「なんで、あなたみたいな子どもがここにいるんですか?私達をどうする気ですか?」 彼女は少女を睨みつける。 「おーおー、怖いでありんすな~。女は顔だけじゃ結婚できないでありんすよ」 笑いながら話す少女に彼女は近づいた。 「ふざけないで」 少女はため息をつく。 「全く、せっかちでありんすな~。出たいならお題をクリアすればいいんでありんす」 「お題?」 「そう。なに、簡単でありんすよ。ペアになった2人にはイチャイチャしてもらうだけでありんす」
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