僕たちの世界は

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僕は佐山さん胸を掴みにいく。 下着があって感触は硬いが大きく手を左右に揺らすと、手に収まるほどの胸はそれに合わせて動いた。 「ご、ごめんなさい!やっぱり無理!」 大きく声を上げたあと彼女は僕を突き飛ばして、走り出してしまった。 「おや、やっぱり童貞でありんすな~。雰囲気もクソもないでありんす」 「うるさいな、見てたのかよ」 「そんなことより、早く追いかけた方がいいでありんすよ。あと2分で鬼が解放されんすから」 クウは僕の腕時計を指した。 「そこの時間がー」 その時、佐山さんの悲鳴が聞こえる。 僕はクウをそっちのけで、佐山さんの悲鳴がした方へと走り出した。 佐山さんは腰が抜けているのか、へたり込んで体を震わせていた。 彼女の先には制服を着た男女らしき死体が転がっている。 男女共に上歯茎から上が根こそぎもがれていた。 まるで手で口を無理やり開けられて、引きちぎられたかのように。 「う、なんだよ、これ」 「あー、参加人数が多くてスタッフが足りないから、掃除しないんでありんすよ。申し訳ない」 クウは頭をぺこりとお辞儀した。 「そうじゃなくて、なんでこんなことになってるんだよ!」 「これはイチャイチャゲームの時間制限を守らずに鬼に脳を食べられた、選ばれなかった人間でありんす」 「は?聞いてないぞ!そんなの!」 「言わなくてはいけないと上からのお達しはなかったんでありんすから、あっしのせいじゃないでありんす!」 クウはほおを膨らませる。 「そんなことより、もう時間すよ。アウトでありんすな」 どこかで扉が開く音がしたと思った瞬間、鼓膜を破るかのような大きな咆哮がする。 まるで腹を空かせた肉食獣が久々の餌を与えられ、溢れんばかりのやる気と喜びが感じられる咆哮である。 「おい!どうすりゃいいんだよ!」 「だから、早くイチャイチャに該当する行為をすればいいんでありんすよ」 「そんな理不尽な理屈……」 クウは汚いものを見るような目で僕を見上げた。 「理不尽だからなんなんでありんす?お前が生きてきた世の中が理不尽でなかったと?」 「な、なんだよ、いきなり……」 「誰かの作ったルールが、その誰かのために作られたルールだとしたら。お前は、ずっと理不尽な理屈の上を知らずにいた、ということでありんすよ」
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