僕の名前は、野里のり太

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「だれっ!? 誰かいるの?」 僕が振り向くと・・・僕の勉強机の引き出しが開いた。 「呼ばれてないけど、じゃじゃじゃじゃーん!」 引き出しから飛び出してきたのは、太ったおじさんだった。 ほとんど裸に近い格好で、ボロボロの青い上着を着ている。 何ともみすぼらしい格好だった。 「君の孫、オリルくんに頼まれてやって来た、僕スニえもん」 「え?」 僕は何が何だか、わからなかった。 「君は、明日、バスの停留所をおり間違えるんだ。 それで、慌ててバスに戻ろうとした君は、後ろから来た車に撥ねられて、空に飛ばされたところを、大空を舞う怪鳥に捕まってチョコレート工場で一生働かされるんだ。 君の孫、オリルくんが僕に3万円と、工場のチョコレートと、それから彼のスリッパと交換したのさ」 見れば、青くて太ったおじさんは、黄色と黒のひよこのスリッパを履いている。 「ちょっと、待って。僕が明日、停留所を間違えて・・撥ねられて、怪鳥に捕まって、チョコレート工場?そんな話、信じられないよ・・」 「じゃあ、これを見てもまだ信じられない?」 青くて太ったおじさんが見せてくれたのは、明日、起こるであろう映像だった。 僕は、バスの中で憧れのグデさんに見惚れていて、うっかりグデさんと同じ上野停留所でおりてしまった。僕の停留所はもっと先だというのに・・・。 僕なら起こりうることだ・・・・。
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