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「――大森が数々の不正を行って得た裏金を流していたのは……他でもない『青の組織』だ」  真森は神妙な顔つきでそう語りだす。 「どうやら大森は『青の組織』と手を切りたがっていたらしい。しかし、そんなおいしい金づるをやすやすと逃すような奴らじゃあない。だとしたら、次に打つ手は何だと思う?」  伺うような視線を受けて、答えたのはジェリーではなくメロンだった。 「当然、脅しにかかるだろうな」  いつの間にか取り出したパイプをぷかぷかとふかしながら、彼は続ける。 「――どのみち『青の組織』の存在を知っている以上、大森を野放しにするわけにはいかない。逆らえば命はない、とでも言えばいいさ。実際残っている選択肢はDIE or DIE。どのみち組織は奴を殺す気だ」  淡々と告げられた推測は、非常に残酷なものだった。  しかし、その言葉に深々と頷く真森も、恐らくはメロンと同じ見解なのだろう。 「いくら裏金にまみれた汚職政治家だろうと、人の命を脅かす連中を許すわけにはいかん。ましてそれが『青の組織』となれば……一刻も早くとっ捕まえなければならんことは明白。そこでジェリー、貴様に私からの『お願い』だ」  にこっと笑った真森の目がすわっている。  そもそも彼女の口から『お願い』なんて殊勝な言葉が出てきたこと自体が恐ろしい。 「大森政志には関わるな。ここはたぬきの出る幕じゃない。我々警察の出番だ。――わかったな」  一方的にそう言い放つと、真森はすっくと立ち上がり、足早に事務所を後にしようとする。 「ええええ~~っっ!! そそそ、そんなの無理だよぅ!!!」  悲痛な叫びと共に瞬速で駆けつけてきたジェリーが、鬱陶しく真森の足にすがりつく。 「無理もへったくれもあるか!! これは命令だ!! 大人しく言うことをきけばいい!!」  真森はビィビィとやかましいたぬきをひっぺがすべく、足を振り回しながら怒鳴り散らした。
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