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「啓祐~!」
ちょっと甘ったれたような声で呼ぶ彼に、僕は嫌な予感がした。
「なに?」
「ちょっと頼みがあるんだけど。」
「やだ!」
「……まだ何も言ってないじゃん。」
あっ、仏頂面されちゃった。
って言うか、拗ねた?
だけどここでにっこり笑って、何?なんて聞いたりしたら、絶対に後で困るのは自分だって長年の経験で分かってる。
「だってさぁ、そんな風に呼ぶ時って、必ず何かあるんだもん。」
ほんと分かりやすいよね、廉くんって。
普段はそんな姿、全然見せないくせに。
まぁどうせ誰かが、絡んでるせいだろうけど。
「あのさ……」
「だから、だーめ!」
こんなにムキになる事もないんだ。
呼ばれた瞬間から理由なんて分かってんだから。
2、3日前から伊織君と喧嘩をしたのか口を利いていない2人。
まぁ、犬も食わないってやつ?
ほっとけば、あっと言う間に仲直りするんだから。
僕まで巻き込まないでもらいたい。
「聞いてからにしたっていいだろ!」
「だって忙しいんだよぉ。ドラマが入って台詞覚えなくちゃいけないし。悪いけど、役に入り込みたいんだよね。廉くんだって仕事は疎かにするなって厳しいくせに。僕じゃなくても、他にまだ暇そうなメンバーがいるじゃん。あっちに頼みなよ。」
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