いいひと

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+ + + + + + 「啓祐~!」 ちょっと甘ったれたような声で呼ぶ彼に、僕は嫌な予感がした。 「なに?」 「ちょっと頼みがあるんだけど。」 「やだ!」 「……まだ何も言ってないじゃん。」 あっ、仏頂面されちゃった。 って言うか、拗ねた? だけどここでにっこり笑って、何?なんて聞いたりしたら、絶対に後で困るのは自分だって長年の経験で分かってる。 「だってさぁ、そんな風に呼ぶ時って、必ず何かあるんだもん。」 ほんと分かりやすいよね、廉くんって。 普段はそんな姿、全然見せないくせに。 まぁどうせ誰かが、絡んでるせいだろうけど。 「あのさ……」 「だから、だーめ!」 こんなにムキになる事もないんだ。 呼ばれた瞬間から理由なんて分かってんだから。 2、3日前から伊織君と喧嘩をしたのか口を利いていない2人。 まぁ、犬も食わないってやつ? ほっとけば、あっと言う間に仲直りするんだから。 僕まで巻き込まないでもらいたい。 「聞いてからにしたっていいだろ!」 「だって忙しいんだよぉ。ドラマが入って台詞覚えなくちゃいけないし。悪いけど、役に入り込みたいんだよね。廉くんだって仕事は疎かにするなって厳しいくせに。僕じゃなくても、他にまだ暇そうなメンバーがいるじゃん。あっちに頼みなよ。」 .
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