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ほらって思いっきり慎に向かって指を差せば、あからさまに嫌な顔をして、そっぽを向いた。
そんな慎の様子を気にする事もなく、手を合わせて可愛くお願いポーズで攻めて来て。
「そんなに大変な事をお願いしようなんて思ってないって。すぐに済むから!それにさーお前じゃないとダメなんだって。」
ダメなんだってって、僕だってダメだって。
だけど……そんな風に言われると弱いよね。
思わず顔がにやけるのが自分でも分かる。
あぁ~あ、慎が呆れた顔して見てるよ。
でもたとえ伊織くんと喧嘩してるせいでも、頼られるのって嬉しいし。
で?って、ワザと観念したように椅子に深く座り込めば、側に椅子をくっ付けてコソコソと周りを見渡す。
今まで散々大きな声で話していたくせに。
慎なんかそっぽ向きながら、耳がダンボになってるよ。
「えっと……あのさ、料理教えてくんねぇ?」
テレながら喋る彼に、ちょっとムカッ!
「今度は何にするつもり?」
そう聞いたらビックリしたように顔を上げた。
「毎回毎回、喧嘩が長引くたびに言って来るんだもん。いい加減伊織くんだって、料理ひとつ差し出されただけで、喧嘩チャラにしようなんて思ってくれないかもよ。」
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