いいひと

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+ + + + + + ほらって思いっきり慎に向かって指を差せば、あからさまに嫌な顔をして、そっぽを向いた。 そんな慎の様子を気にする事もなく、手を合わせて可愛くお願いポーズで攻めて来て。 「そんなに大変な事をお願いしようなんて思ってないって。すぐに済むから!それにさーお前じゃないとダメなんだって。」 ダメなんだってって、僕だってダメだって。 だけど……そんな風に言われると弱いよね。 思わず顔がにやけるのが自分でも分かる。 あぁ~あ、慎が呆れた顔して見てるよ。 でもたとえ伊織くんと喧嘩してるせいでも、頼られるのって嬉しいし。 で?って、ワザと観念したように椅子に深く座り込めば、側に椅子をくっ付けてコソコソと周りを見渡す。 今まで散々大きな声で話していたくせに。 慎なんかそっぽ向きながら、耳がダンボになってるよ。 「えっと……あのさ、料理教えてくんねぇ?」 テレながら喋る彼に、ちょっとムカッ! 「今度は何にするつもり?」 そう聞いたらビックリしたように顔を上げた。 「毎回毎回、喧嘩が長引くたびに言って来るんだもん。いい加減伊織くんだって、料理ひとつ差し出されただけで、喧嘩チャラにしようなんて思ってくれないかもよ。」 .
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