いいひと

6/8
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
+ + + + + + すでに去っているにも関わらず、じゃーねって言ってしまうくらい、思わず顔がほころんでしまった。 こうなったら速攻仕事終わらせて、少しでも長い時間、廉ちゃんと過ごさなきゃ。 浮かれたまま慎を振り返れば、その途端何故か焦った顔で僕の後ろを指さしている。 後ろ?なに……? うわあぁぁぁーー! そこに立っていたのは、もの凄い顔で僕を睨んでいる伊織くんだった。 その恐ろしい形相のまま、近づいてくる。 思わず体が後ずさって、僕ってば思いっきり挙動不信。 「な、なに……伊織くん。」 「今なにやってたんだ?」 ちょっと、すっごい威圧感があるんですけど。 僕、同じグループのメンバーだよね? そんなに威嚇しなくてもいいじゃん。 蛇に睨まれたウサギのように、もう一歩も動く事なんて出来なかった。 「廉と抱き合ってたよな?なぁ?啓祐。」 「いや、あれは……」 抱き合ってた……けど、抱き合ってた訳じゃなくて。 「お前の事、好きだって?」 どうしてそういう誤解する部分ばかり聞いてるんですか? 「い、いや、あのね……」 伊織くんと喧嘩した廉ちゃんが、伊織くんのために料理を作ってあげたくて、僕に教わりに来ます。 そう言ったら、速攻ご機嫌になるんだろうけど。 ばらしたら、今度は廉ちゃんが不機嫌になるだろうしなぁ。 大きく溜息を付けば、思いっきり睨まれた。 .
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!