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すでに去っているにも関わらず、じゃーねって言ってしまうくらい、思わず顔がほころんでしまった。
こうなったら速攻仕事終わらせて、少しでも長い時間、廉ちゃんと過ごさなきゃ。
浮かれたまま慎を振り返れば、その途端何故か焦った顔で僕の後ろを指さしている。
後ろ?なに……?
うわあぁぁぁーー!
そこに立っていたのは、もの凄い顔で僕を睨んでいる伊織くんだった。
その恐ろしい形相のまま、近づいてくる。
思わず体が後ずさって、僕ってば思いっきり挙動不信。
「な、なに……伊織くん。」
「今なにやってたんだ?」
ちょっと、すっごい威圧感があるんですけど。
僕、同じグループのメンバーだよね?
そんなに威嚇しなくてもいいじゃん。
蛇に睨まれたウサギのように、もう一歩も動く事なんて出来なかった。
「廉と抱き合ってたよな?なぁ?啓祐。」
「いや、あれは……」
抱き合ってた……けど、抱き合ってた訳じゃなくて。
「お前の事、好きだって?」
どうしてそういう誤解する部分ばかり聞いてるんですか?
「い、いや、あのね……」
伊織くんと喧嘩した廉ちゃんが、伊織くんのために料理を作ってあげたくて、僕に教わりに来ます。
そう言ったら、速攻ご機嫌になるんだろうけど。
ばらしたら、今度は廉ちゃんが不機嫌になるだろうしなぁ。
大きく溜息を付けば、思いっきり睨まれた。
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