15人が本棚に入れています
本棚に追加
遠くで電話が鳴っていた。
真夜中なのに、気が付いてしまったその音。
ぼんやりと覚醒した意識がベッドサイドにあるスマホを探し当て、そのまま手探りで繋げて耳に当てた。
「は‥い……」
『ごめん。寝てたか?』
聞こえた声の主に驚いて、飛び起きて戸惑ってしまった僕。
「誰?」
分かっているのに、問い掛けてみる。
そんな事、わざわざ聞かなくたって分かる。
たった一言だって。
いや、その気配だけでも分かる自信だってあるけれど。
『ん……おれ‥』
「俺って一言だけで、判ってもらえると思わないでよね。」
ちょっとだけ文句を言えば、受話器の向こうの空気が動いた気がした。
.
最初のコメントを投稿しよう!