片思い

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遠くで電話が鳴っていた。 真夜中なのに、気が付いてしまったその音。 ぼんやりと覚醒した意識がベッドサイドにあるスマホを探し当て、そのまま手探りで繋げて耳に当てた。 「は‥い……」 『ごめん。寝てたか?』 聞こえた声の主に驚いて、飛び起きて戸惑ってしまった僕。 「誰?」 分かっているのに、問い掛けてみる。 そんな事、わざわざ聞かなくたって分かる。 たった一言だって。 いや、その気配だけでも分かる自信だってあるけれど。 『ん……おれ‥』 「俺って一言だけで、判ってもらえると思わないでよね。」 ちょっとだけ文句を言えば、受話器の向こうの空気が動いた気がした。 .
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