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『ディスプレイ見たらお前だったから、つい出ちゃったんだって。お前、慌てて切るんだもんなぁ。』
伊織がショック受けてたぞって悪気もなく笑う。
その瞬間、胸の辺りがキリキリと痛んだ。
それはね、伊織くんが僕に牽制してるんだよ?
あの人は廉ちゃんに気持ちがある人には、例えメンバーでも容赦しないんだ。
廉ちゃんは知らないだろうけどさ。
なんて考えて、どんどんどす黒く心が変色していく気がした。
それでもぎゅっと胸元を押さえて、その痛みを押さえ込む。
「……悪かったってば。だってさービックリしちゃったんだよ。間違えちゃったのかなって。それより僕の方こそ、2人の邪魔しちゃったんじゃない?もうさ、電話掛けないから。」
嫉妬で酷く苦しくなって、つい漏れてしまった本音。
繋がった先にいる廉ちゃんが苦しそうに大きく息を吸い込むのが分かった。
『啓祐は、そんな事言うなよ……お前だけは、伊織との事でそんな風に言うな。なっ?これからも何かあったら……何もなくてもさ、遠慮なく電話して来いよ。』
淋しそうに呟かれて、更に苦しくなっていく。
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