10人が本棚に入れています
本棚に追加
+ + + + + + +
「あのさ……だったら何か話しなよ。何でも聞くからさ。こんな風にされたら、こっちはいい迷惑じゃん。」
そう言ったら抱き締めていたクッションに顔を埋め、まるで親に怒られた子供のように大人しくなってしまった。
そのしぐさがあまりにも幼くて、啓祐は困ってしまう。
「廉ちゃん……別に僕は怒ってる訳じゃないんだしさ。分かったから……言いたくないなら言わなくていいから、そんな風にしないの。」
はぁ……
大きく溜息をついて、啓祐は先ほど投げられたクッションを、畳の上に持っていく。
どうしてこの人は自分が最初に嗾けて来たくせに、こんな風にこっちが悪いような気にさせるのだろう。
「廉ちゃん……ねぇ、マジで怒ってないからさ。ご機嫌直してよ。」
クッションに埋めた頭を撫でて様子を伺っていると、ふいに楽屋のドアが開いた。
慌てて手を引き振り返れば、毛布を持った伊織が立っていた。
.
最初のコメントを投稿しよう!