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「あははははっ!!……っと、ごめんごめん。」
寝てしまった廉を起こさないようにと部屋を移動して。
啓祐が事の顛末を話せば、クッションに顔を埋めた辺りで伊織は大爆笑した。
「それって眠くて、ぐずってただけだよ。」
「ぐずってって……赤ん坊じゃないんだから!」
どうやら廉は最近の寝不足から、ただ単に眠かっただけのようで。
伊織はそれに気がついて、移動車に毛布を取りに行ってる間の出来事だったらしい。
「朝から様子が変だと思ってはいたんだけどな。ここのところ忙しそうだったし、神経張り詰めてたから……実はお前が来るまでは、人の出入りが激しかったんだよ。だけどお前が来た頃から、ぱったり人の出入りがなくなっただろ?だから、そろそろ寝るかなぁって思って、俺が毛布を取りに行ったわけ。お前の傍だったら安心して寝れるしな。あいつ、他に人がいると眠くても寝られない奴だけどさ、啓祐なら大丈夫だろ?きっと安心しちゃったんだって。」
そんな風に言われると、啓祐は何も言えなくなってしまう。
自分は安心出来る人間だと、伊織にも認められているんだと。
それが少しだけこそばゆくて。
でもそれを素直に表すのは癪に触るから。
「僕より年上なんだから、ぐずらないでもらいたいよね。」
そう言って啓祐は、ここに来る前に買ってもらったアイスを頬張った。
++おわり++
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