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あれこれ考えながら食べている俺の前で、啓祐はビール片手にずっと喋っていた。
返事が欲しい訳じゃないんだ。
ただ思いのままに。
時々すべてを吐き出していく。
だけど聞いてるこっちは居たたまれない。
「お前、うるさい。もうちょっと静かに出来ないのかよ。」
そんな事を言えば、いきなり俺の前に影が迫ってきて。
ちゅっ。
ほっぺにキスをされた。
「お、お前!!」
「ほっぺにご飯つぶ付けて文句言っても、説得力ないよ?」
えっ?って頬を触っても、ご飯粒はすでに消えていて、キスと共に啓祐の口の中に収まっていた。
「あ……あとで伊織に今日の事、謝っておけよ。」
この場をやり過ごす為に呟いて、目の前の食事に集中して誤魔化した。
たぶん明日になれば酔いも冷めて頬へのキスも悪態も覚えていないだろう。
それはまたちょっと残念な気がするけれど。
やっぱ啓祐だよな……って納得して。
たまにはこんなのもいいか、と思ってしまう自分がいた。
おわり
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