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ドアに鍵を差し込んで、その軽さにそっと扉を開けた。
すでに鍵が開いているという事は、主より早くあいつが来ている事を物語っていて。
「……ったく。久々に会うからって、早ぇーよ。」
自分の家なのにドアを少しだけ開けて中を伺うように覗けば、そこにはいつもの靴とは違った、また見なれた靴が1足きちんと並んでいた。
「えっ……?なんであいつが、ここにいるんだよ……」
靴を脱ぎ捨てて奥へ進むと、靴の持ち主である敬祐がソファーで眠り込んでいた。
大きく溜息を付いて荷物を下ろし、取り合えず乾いた喉を潤す為に買ってきたビールを取り出す。
プシュッと音を立ててプルトップを開け、一気の喉の奥に流し込み、再度啓祐を覗きこめば、何が嬉しいのか寝ながらへらへらと笑みを浮かべていた。
「何が、面白いんだか……」
テーブルの上に飲みかけのビールを置き、ふと床を見れば、酎ハイの空き缶がコロコロといくつも転がっていた。
「こいつ……勝手に入りこんで、飲んでやがんな。」
一体、何なんだよ。
どうやって部屋に入ったかは起きてから聞くとして……
目下の問題は、この後のことにあった。
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