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今日は伊織が家に来ることになっていた。
しかも約束の時間はもうすぐ。
このところ忙しくてプライベートで会う暇がなくて、拗ねていたから飯でも食べながら家でゆっくり過ごそうと話してあったんだ。
この状態を見たら、きっと啓祐を叩き起こして怒り出すだろう。
「何で今日かなぁ……」
何度目か分からない溜息を付きながら、それでも気持ち良さそうに寝ている啓祐を起こす気にはなれなくて。
「しょうがねーなぁ。」
仕方なしにカバンからスマホを取り出し、洗面所へ向った。
「だ・か・らっ!!今日はダメになったって言ってんの!……はぁ?理由なんていいだろ。……分かってるって…俺だって会いたいって思ってたって……あぁ??浮気???お前なぁ、いい加減にしろよ。俺の事、信用してねーのかよっ!!……だから‥とにかく今日は来んな!……っと、分かんねぇ―奴だな。だから……」
「廉ちゃん?」
こそこそと洗面所で伊織にキャンセルの連絡を入れていれば、突然背後から啓祐の声。
電話の向こうに聞こえたであろうその声に思いっきり反応して、思わず電話を切り、ついでにスマホの電源を落とした。
電話を切る瞬間、怒鳴り声が聞こえた気がして、絶対に聞こえたよな……って思いっきり肩を落として溜息を付けば。
まだ酔いの抜けきらない啓祐が脇を通り抜けて顔を洗い出した。.
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